学生が、奈良の企業の新規事業(なりわい)づくりにともに取り組むならわいfor students。第3回目が、2026/3/4-7にかけて行われます。テーマは「文化のまちをつくる3日間」。
「もう少しどんなプログラムなのか知りたい!」という方向けに、過去参加者の声をお届けします。2024年3月に開催された ならわい for students「まちをつくる3日間」の参加した正岡さん。ならわいに参加したときのこと、その後の経験を経ての自分自身の変化、そして一歩進んだ経験など、お話を聞いてみました。
正岡さん
京都府出身。奈良女子大学の文学部に在籍中。大学1年生のとき、ならわいに参加。5人のメンバーでプロジェクトに臨みました。ならわい for studentsに参加したご縁がつながり、現在、奈良の若手起業家とともに海外観光客に向けた体験事業に携わる。
ならわい、どうでした?

ならわい参加当時の正岡さん。同じチームでグループワーク。
大変でした!だけど、楽しかったです。時間を経て、あれはいい提案だったのか?ふと内省することが多いです。ただ、あのときはあれが精一杯だったようにも思います。振り返ると、わたし個人としては打ちのめされることの連続でした(笑) 。それでも、参加してよかったです。
はじめて学外の人とグループワークをする体験でもありました。その後、学外の活動に参加する経験も積んで、自分の立ち位置を客観視することもできるようになってきました。ならわいの当時はグループで話し合っていても、自分が話そう!という気持ちが強かった気がします。今の自分は、みんなの話を聴く、そこから少し立ち止まって考えて自分の意見を言う、そっちに個性があるように思っています。ならわいやその後の経験を俯瞰することで見えてきたことです。
どうして参加したんですか?
将来の自分が決まっていないなかで、いろいろ試してみたくなったんです。企業インターンシップなどもあるなかで、ならわいが気軽にはじめられそうでした。“創業”を考えたことはなかったけれど、単純に「おもしろそう」な気がしたんです。事前開催のトークイベント(プレイベント)も聞いて、参加を決めました。今でも、「楽しそう!面白そう!」という心の動きは大切にしています。そうすることで、自分の「好き」や「やりたいこと」の方向性も見えてきたように感じます。

ならわい本プログラムに参加するきっかけとなったプレイベント
取り組んだプロジェクトは?
近鉄大和西大寺駅にある梅守第二ビルの再開発プロジェクトです。ビルの顔となる1階の「飲食店」がテーマでした。国籍や性別、年齢、病気や障害に囚われることなく、まちに住むひとも観光で訪れるひとも混ざり合う交流拠点をつくるための仕掛けづくりを考えました。
大変だったことはありますか?
わたしたちは、5人でグループワークを行いました。
グループでいうと、時間が…足りない(笑)!3日間はほんとうにあっという間でした。グループで進めるからこそ、いろいろなアイデアが出てきます。それらをまとめて、提案という形にしていくのが大変でした。
わたし個人でいうと、経験が…足りない(笑)!グループには、学生起業しているひともいました。経験があるから「資金計画を考えます」「スライドをCanvaでつくります」と自分から動けるんですね。だけどわたしは、どう動いたらいいかわからない。そんなことがたびたびありました。
ーここだけの話、凹んだこともありましたか?
ありました、ありました(笑)!わたしも力になりたい、と提案したことが見当違いのときもあって。それでも考え続けるから、学びがすごいんだと思います。やりながら「こういうことなんだ」と。
ならわいから少し時間を経て、学校内外の経験を経て自分ができることも増えてきました。結果的に、グループワークなどに参加するときも「自分がこれをやります!」ということも言いやすくなってきたように思います。
どんなことを学びましたか?
72時間すべてが学びでした。えっと…思いつくままに話してもいいですか?
・「はじめて」に挑戦するハードルが下がりました。
・運営やメンターの方をはじめ、社会人の仕事を間近で見られてよかったです。「大人ってこんなふうに仕事をしているんだ」と垣間見たことで、以降の活動でそこを参考にしながら物事を進められるようになった気がします。
・ものごとを順序立てて考える「思考のフレームワーク」がちょっとだけ身につきました。
・思いを言葉にする大切さに気づきました。以前は、うまく伝わらない場面も「まあいいや」とやり過ごしがちでした。最近はうまく伝わらない場面も減ってきたように感じます。伝える前に、伝わる言葉を考えてから話すように意識づけています。
未来、変わった?

本プログラム終了後の懇親会のひとこま。この経験がどんな未来につながるか。
ならわいは、あとからじわじわくるんです。たとえば今日は、大学の授業でフィールドワークをしてきたんです。まちを歩きながら「こういうふうに進めていくとよさそう」と考える自分がいました。
ーその後は学校内外での活動、そして留学などを経験。そんな折に転機となるようなことがあったそうですね。
ちょうど留学から帰ってきた頃に、ならわいの運営の方から連絡がありました。「とある観光系の企業が海外観光客向けのお茶の体験ガイドをしてくれる人を募集している、正岡さんやってみない?」という連絡でした。お話を聞いてみると、ならわいの会場にもなった奈良市創業支援施設BONCHIを拠点に起業した、株式会社Tale Naviという会社でした。
当時私は新しいことに挑戦をしてみたいと思っていた時期でした。役員の方と面談をして、自分にできるか多少の不安もありました。特に英語面で… ただ、おもしろそう!と思ったらとりあえずやってみるという気持ちで飛び込んでみました。
はじめてのガイドの時間。何も話せず、凹んでしまいましたが… そこから先輩方のガイドの様子を見ながらひたすら練習を繰り返しました。最初の頃のような失敗はないにしても、今でも毎回試行錯誤を繰り返しています。それぞれのお客様にあった場づくりを心がけているため、「今日あんま上手くいかんかったかもな」と思うことも度々あります。ただ、考え続けるからこそ、お客様と一緒にわいわいできた時はやりがいがあります、楽しいという実感があります。
いまでは問題なくこなせるようになり、自分自身も楽しむ余裕がでてきました。
ならわいがきっかけでつながった関係の中で、また新しい挑戦がはじまっていて不思議です。


編集後記
3日間を思い出し、言葉がどんどん溢れ出る正岡さん。「体験を言語化して伝えることが楽しい!」という印象でした。マスメディアやネット経由ではなく、目の前のひとから直接声を聞くことで、新しい世界が開けたのかもしれません。自分の思いを粘り強く言葉にできるようになり、ひととの関わり方も変化する。そんな濃密な3日間の体験がありました。また、ならわいから時間が経過することで、新たな経験をどんどん積んで、ならわいの学びも少しずつ変化しているようです。今後の新しい挑戦も応援していきたいです。






