学生が、奈良の企業の新規事業(なりわい)づくりにともに取り組むならわいfor students。第2回目が、2025/3/5-8にかけて行われます。テーマは「旅のまちをつくる3日間」。
「もう少しどんなプログラムなのか知りたい!」という声にお応えして、2024/3/11-13に開催した第1回目「ならわい for students まちをつくる3日間」の参加者に話を聞きました。
荒井さん
山形県出身。奈良県立大学の地域創造学部に在籍中。大学1年生のとき、ならわいに参加。5人のメンバーでプロジェクトに臨みました。
ならわい、どうでした?
うーん、グループとしての発表はよかったと思うのですが、ぼく自身の達成度は30%でした。
ー30%。けっこうきびしめですね?
ぼくはグループのなかで、分析とスライド作成を主に行いました。当日発表したスライドを見返しているんですが…うん、もっとうまくやれたなあと思います。分析も資料作成も、どちらも甘い。
まあ、失敗ですよね。だけど失敗できたから、自分に足りないことがたくさん見えた。自分のキャパを広げたいと思ったんです。
ーならわいから9ヶ月が経ちます。この間、どう過ごしてきましたか?
環境を変えました。自分で自分を抜け出すのは難しい。だからいろいろなひとに連れ出してもらおうと思いました。
たとえば、ならわいの運営にも関わっていたBONCHIのコワーキング会員になったこと。ならわいが終わってからも、BONCHIの交流会や人生を深めるイベント「LIFE PICNIC」などに参加していたんです。運営の方々が、いろいろなキャリアのひととつないでくれるなかで「ユース会員になってみたら?」と声をかけてくれました。それから、自分のロールモデルや憧れるひとのセミナーに申し込んでみたり、全国の学生が集うワークショップに参加したり。
どうして参加したんですか?
ならわいが、おもしろそうだったんです。ぼくは、個人事業主として動画制作を行っています。地域にある価値をストーリーとともに伝えることで、ひとの消費行動を変えるきっかけをつくりたいんです。
そう思った原点は、ぼくの地元にあります。山形県にある小さなまちで、年々人口が減少しているけれど、その課題に本気で取り組んでいるとは思えませんでした。それぞれが内向きに生きていて、まち全体がだんだん小さく縮んでいくようにも見えました。
大変だったことはありますか?
企画提案が大変でした。みんなの意見をまとめて形にするので手いっぱい。おもしろい案も出ていたけれど、無難にまとめてしまった気がします。結果として、オーナーである梅守さんに刺さりきらない提案になってしまいました。
もう一つ難しかったのが、提案の立ち位置でした。企画にはいろいろ盛り込んだものの「誰が実施するんだろう?」という感じが拭えませんでした。梅守さんのやりたいことと、ぼくたちのやりたいことがうまく重なる提案ができませんでした。
だけど、学びはいろいろありましたね。
どんなことを学びましたか?
まずは企画のつくり方を学べたこと。潜在課題と顕在課題、3C・4P分析、ビジョンドリブンとユーザードリブン…ここで教わったことは、この先もずっと活用していけます。
そして、失敗できたことです。企画は、考えるだけじゃダメなんですね。考えて、試して、失敗して、また立てていく。実践している大人たちから学ぶことができました。
未来、変わった?
100%想定外です。ならわいに参加したときは、まったく想像していなかった未来を生きてます。直感で行動したり、周りの流れに身を任せることが増えました。本能的に動きながら、行った先々で力をつけている感じ。
ならわいには「起業」というキーワードがあります。ぼくの通う大学は6割が公務員志望ですが、「起業しない自分には、ならわいは無関係」と考えてしまうのは残念な気がします。起業は、起業家だけのものではありません。最近、起業家のようにプロジェクトを打ち出す公務員のひととよく出会います。会社員だからこそ、影響力の大きいプロジェクトに取り組むひともいます。どこにいたって、企画力は求められます。ならわいで、本気の失敗してみませんか?
編集後記
「失敗ってしていいんだ!」と気づかせてくれた荒井さん。自分の達成度は30%だったというならわい for sutudens。その経験をもとに9ヶ月間動きつづけた先に、100%想定外の未来が現れつつあります。「想定内の人生を歩んでいるなあ」と感じた学生のみなさん、自分の枠外へ飛び出してみませんか。大丈夫、運営やメンターのみんなもいます。大人たちもいろいろな経験をへて、今を走っています。
(2024/11/6 インタビュー 大越はじめ 撮影 大越はじめ、金栄吉)